〒386-0018 長野県上田市常田1丁目10-78
小児の近視(近眼)は年々増加傾向にあります。とくに近年ではコロナ禍による屋外活動の減少や、タブレットやスマホなどの使用による近業の増加で、世界的にも小児の近視が増加してきています。
学童期における近視増加の大きな問題点は、日常生活で眼鏡やコンタクトレンズの装用が必要になることだけではなく、将来、子供たちが成人してから、さまざまな目の病気を引き起こしやすくなってしまうことです。とくに強度近視とよばれる強い近視になると、近視性黄斑症、緑内障、網膜剥離といった、さまざまな目の病気を引き起こしやすくなることが知られています。
近視の進行は、眼球が前後方向に大きく伸びることにより生じます。とくに身長が大きくなる学童期に、眼球も一緒に伸びるため、小学生や中学生の時期が近視の最も進行しやすい時期となります。一度伸びた眼球は、身長と同様にもとに戻ることはなく、近視も改善することはありません。このため近視の進行しやすい学童期になるべく近視を予防してゆくことが大切です。
近視が進⾏する原因としては、
今後子供たちのスクリーンタイムはさらに増加すると予想されるため、
小児期における新しい近視予防対策が求められています。
近年、様々な小児への近視予防治療が始まっており、その有効性が報告されています。
当院では、その中でも近視抑制の効果や安全性の点から、低濃度アトロピン(マイオピン)点眼、オルソケラトロジーによる近視予防治療を行っております。
小児の近視進行の度合いを評価するためには、正確な視力や近視の度数を確認することが大切ですが、小児ではピントを合わせる調節力がとても強く、通常の視力検査や屈折検査だけでは、正確な近視の評価ができずに、測定値がバラつくことがしばしばあります。
このため当院では、近視予防治療における正確な近視評価のために、最新の近視進行測定装置である「マイオピアマスター」を長野県内で初導入致しました。
マイオピアマスターは、目の大きさである「眼軸長」を測定し、調節力による変動を受けずに正確な近視進行を評価することができます。
マイオピアマスターで眼軸長測定の変化を経時的に測定し、内蔵された25,000人以上の正常眼軸長データベースと比較解析することで、お子様の近視進行スピードや近視予防治療の効果を、正確かつ視覚的な評価をすることが可能です。
当院では、近視進行があるお子様に対して、マイオピアマスターや屈折検査で近視の状態を正確に判定し、それぞれのお子様に最適な近視予防治療をご提案いたします。
小児期の近視治療は、「進んでも仕方ない」、「予防できない」から、「なるべく進行させない」、「予防する」時代になっており、近視が進行する前の予防治療が大切です。お子様の近視にお困りの方は、当院へご相談ください。
「マイオピン」は、⼩児の近視進⾏予防を⽬的に、Singapore National Eye Centre(シンガポール国⽴眼科センター)で開発された、アトロピンを低濃度(0.01%、0.025%)配合した点眼薬です。
元々、アトロピン点眼は古くから眼科で使⽤されている安全性の⾼い点眼薬ですが、通常に⽤いられる調節⿇痺検査⽤のアトロピンの濃度(1%程度)では、瞳孔が開いて眩しくなったり、調節⼒が低下してピントがあわなくなったりする副作⽤が出てしまいます。
これを低濃度に調整することで、副作⽤の発現を最⼩限にして、⼩児の近視進⾏予防に開発されたものが「マイオピン」です。
適応年齢は、通常6歳からの学童期のお⼦様、とくに近視が進⾏しやすい⼩学⽣〜中学⽣が対象となります。
2021年により近視予防効果の⾼い0.025%マイオピン点眼が発売され、0.01%マイオピンで⼗分な抑制効果が得られない場合に選択が可能となりました。(注:0.01%製剤にくらべ、濃度が⾼いため、まぶしさがやや出やすくなります)
「マイオピン」の近視抑制効果は、近年世界中で⾏われており、欧⽶⼈に⽐べ、アジア⼈に効果が⾼いことがわかっています。
シンガポールの研究では、0.01%アトロピン点眼を1⽇1回2年間使⽤したところ、点眼を⾏わない場合に⽐べて、約50%の近視抑制効果が確認されました。
また2019年の⾹港の研究では、0.05%、0.025%、0.01%の低濃度アトロピン点眼薬の有効性が評価され、濃度が⾼いほど(0.05%>0.025%>0.01%)、近視抑制効果が⾼いことが報告されています。(0.05%低濃度アトロピン点眼は現在未発売)
また2020年11⽉、⽇本で7つの⼤学病院で共同研究が⾏われ、「低濃度アトロピン(0.01%)は⼩児の近視の進⾏予防に有効かつ安全である」と報告されました。
現在国内でも新たな治験が開始されており、その結果報告が待たれています。
通常6歳から〜15歳頃までの、近視進⾏がみられる学童期のお⼦様が対象となります。
3〜6ヶ⽉毎の定期的な通院が可能な⽅。
マイオピン治療が初めての⽅は、0.01%マイオピンから治療開始となります。
0.01%マイオピンで⼗分な近視抑制効果がみられない場合、0.025%マイオピン治療や他の治療の併⽤を検討致します。
マイオピンの治療は⾃由診療であり、保険適応外診療となります。そのため、保険診療とは別⽇に⾏います。
また健康保険や医療費助成制度は適応されません。
マイオピン0.01% 1本3,400円(税込)、診察・検査代1,500円(税込)
初回検査 | マイオピン1本 + 検査・診察 | 4,700円(税込) |
---|---|---|
再診時 | マイオピン3本 + 検査・診察 | 11,100円(税込) |
追加点眼処⽅ | マイオピン1本 | 3,200円(税込) |
マイオピン0.025% 1本4,200円(税込)、診察・検査代1,500円(税込)
初回検査 | マイオピン1本 + 検査・診察 | 5,500円(税込) |
---|---|---|
再診時 | マイオピン3本 + 検査・診察 | 13,500円(税込) |
追加点眼処⽅ | マイオピン1本 | 4,000円(税込) |