加齢黄斑変性治療 AGE-RELATED MACULAR DEGENERATION TREATMENT

加齢黄斑変性(AMD)とは?WHAT

  • 加齢黄斑変性の眼底像
  • 加齢黄斑変性のOCT像(網膜断層像)
  • 加齢黄斑変性(AMD)は、網膜の中心である黄斑が加齢などにより出血やむくみ(浮腫)をおこして、視力低下やゆがみ(変視症)をひきおこす病気です。
  • 進行すると回復が難しく、早期の診断・治療が大切であるため、早めの眼科受診が必要です。
  • 加齢黄斑変性は、国内における日本の失明原因の第4位となっています。

加齢黄斑変性の症状

加齢黄斑変性(AMD)は、網膜の中心である黄斑が加齢などにより出血やむくみ(浮腫)をおこして、視力低下やゆがみ(変視症)をひきおこす病気です。進行すると回復が難しく、早期の診断・治療が大切であるため、早めの眼科受診が必要です。
加齢黄斑変性は、国内における日本の失明原因の第4位となっています。

加齢黄斑変性の特徴FEATURE

  • 基本的に50歳以上の方に起こる病気であり、年齢が上がるほど発症率も高くなります。
  • 従来は欧米でよくみられた病気ですが、近年日本でも増加しています。
  • 網膜の中心である黄斑は、視細胞が多く集まっている視力の最も大切な部分です。
  • 加齢黄斑変性はこの黄斑に、脈絡膜新生血管という異常な血管ができ、出血や浮腫(むくみ)などを引き起こしてしまう病気です。
  • 加齢黄斑変性の進行により黄斑が傷んでしまうと、大きな視力低下をひきおこします。
  • 通常、未治療では視力は0.1以下になり、予後不良です。
  • 黄斑を含む網膜細胞は神経の一部であり、一度傷害されると回復が困難になるため、早期発見・治療をおこない、進行を予防することが大切です。
  • 加齢黄斑変性のリスクファクターとしては、年齢や喫煙、紫外線、食生活などが指摘されており、眼科治療とともに、生活習慣(とくに喫煙)の改善が重要です。
  • 加齢黄斑変性は再発を繰り返しやすく、治療のタイミングが重要になるため、根気よく経過観察をしていく必要があります。

加齢黄斑変性の診断 DIAGNOSE

加齢黄斑変性の診断は、通常の検眼鏡による診察だけでなく、光干渉断層計(OCT)や光干渉血管造影検査、眼底自発蛍光検査などが有用です。
加齢黄斑変性は、新生血管のできる位置によりタイプが異なります。
詳細な検査で、原因となる脈絡膜新生血管を発見し、加齢黄斑変性のタイプを正確に診断したうえで、最も適した治療法を選択します。

光干渉断層計

加齢黄斑変性のタイプ

加齢黄斑変性のタイプは大きく2つに分けられ、「滲出型加齢黄斑変性」と「萎縮型加齢黄斑変性」に分類されます。
日本では萎縮型にくらべて、滲出型の割合が多くなっています。

  • 01 滲出型加齢黄斑変性
    – 滲出型AMD –

    滲出型加齢黄斑変性の病態

    • 滲出型加齢黄斑変性(滲出型AMD)は、通常の典型的加齢黄斑変性(典型AMD)、特殊型であるポリープ状脈絡膜血管症(PCV)、網膜血管腫状増殖(RAP)に分類されます。
  • 02 典型加齢黄斑変性
    – 典型AMD –

    • 黄斑部に脈絡膜新生血管を形成する、基本タイプ
  • 03 ポリープ状脈絡膜血管症
    – PCV –

    • 脈絡膜の異常血管網とぶどうの房のようなポリープ状の新生血管を形成するタイプ
    • 日本人を含めたアジア人に多い
    • 予後不良のものから、自然寛解するものまで様々
  • 04 網膜血管腫状増殖
    – RAP –

    • 他のタイプとことなり、脈絡膜ではなく網膜内に新生血管を発生するタイプ
    • 比較的頻度は低めであり、日本人では頻度は少ないが、両眼発症が多く、予後不良
  • 05 萎縮型加齢黄斑変性
    – 萎縮型AMD –

    • 欧米で多くみられるタイプであり、網膜が徐々に萎縮して、中心が障害されると視力低下などをおこします。
    • 萎縮型加齢黄斑変性では脈絡膜の新生血管はみられず、抗VEGF薬の硝子体内注射などの積極的治療の対象外となります。

加齢黄斑変性の治療についてTREATMENT

通常、加齢黄斑変性の積極的治療の適応となるのは、滲出型加齢黄斑変性です。
滲出型加齢黄斑変性の治療としては、生活習慣の改善に加えて、抗VEGF薬の硝子体注射、光線力学的療法(PDT)、レーザー治療、ステロイド局所注射、加齢黄斑変性用サプリメント内服を行います。

抗VEGF薬硝子体内注射

滲出型加齢黄斑変性の原因である、脈絡膜の新生血管が黄斑の中心(中心窩)に及んでいる場合、新生血管を退縮する目的で、抗VEGF薬の硝子体内注射による薬物療法が第一選択となります。
抗VEGF薬は、加齢黄斑変性の原因となる新生血管の成長を促進する、血管内皮増殖因子(VEGF)を抑制する作用をもった薬剤です。
以前はアバスチン(ベバシズマブ)とよばれる、大腸がん向けの抗VEGF薬を、眼科で適応外使用していましたが、2009年に眼科用の抗VEGF薬であるルセンティス(ラニビズマブ)が国内で承認され、加齢黄斑変性の治療は大きく進歩しました。
その後、アイリーア(アフリベルセプト)やベオビュ(ブロルシズマブ)などの新しい眼科用の抗VEGF薬が次々に登場し、現在では加齢黄斑変性のタイプや個々人の治療効果に応じて、最適な抗VEGF薬を選べるようになってきています。

  • ルセンティス(ラニビズマブ)
  • アイリーア(アフリベルセプト)
  • ベオビュ(ブロルシズマブ)

光線力学的療法(PDT)

加齢黄斑変性の補助的療法として、光線力学的療法(PDT)や黄斑中心(中心窩)外の脈絡膜新生血管に対しては従来のレーザー治療を行う場合があります。

ステロイド局所注射

ステロイド薬(トリアムシノロン)を眼球の周囲に注射する治療です。
他の治療の補助的治療としての役割をもちます。

加齢黄斑変性用サプリメント・生活習慣改善

ビタミンC、E、亜鉛、ルテインなどのビタミン・ミネラルなどを一定量摂取することで、加齢黄斑変性の予防効果がみられることがわかっており、他の治療と併用して専用サプリメントの内服をお勧め致します。
生活習慣改善(禁煙、紫外線予防、食生活の改善など)と組み合わせて治療効果を高めます。

加齢黄斑変性治療の注意点

  • 一般的に加齢黄斑変性は、慢性疾患であり、再発を繰り返しやすい疾患のため、長期間の経過観察が必要になります。
  • 抗VEGF薬の治療を開始しても、通常一度の治療で落ち着くことは少なく、複数回にわたる治療を続けていく必要があります。
  • 脳梗塞や心筋梗塞などの既往がある方は、抗VEGF薬硝子体注射の慎重適応となりますので、治療前にスタッフまたは担当医へご相談ください。